オーディオの時代とTVCM (終)

¥39800円! 最近は余りネタにされる事も少なくなったが、この*9800円 *980円という微妙な値段の
切り方、昔から日本人は好きである。(海外でもそうなのだろうか?)さすがに車などの高額かつ総支払額が
複雑な商品では見られないものの電化製品から食料・菓子に至るまで多くの製品の公表価格で使われている。

80年代中盤以降、オーディオの世界もまさに9800円、7800円の嵐だった。84年いわゆるシスコン
(シスターコンプレックスではないw)のスピーカーを換えたりAMPーDECK間にグライコを噛ましたり何とか
やりくりしていたシステムから一歩前進とばかりPMアンプの購入を考えていた時もそうだった。99800円、
79800円、59800円のオンパレードである。 結局、SANSUI の AU-D607F を買おうとして代替わりした
607X を買ってきた。79800円。いまだに実家の個室に鎮座している。

9800円の波はとどまる所を知らずアンプ、デッキ、プレーヤー類だけでなくスピーカーの
それもエントリークラスからハイスタンダードクラスで多く見られた。

・・が、問題?は価格設定だけではなく当時の物作りにストレスを抱えていた事ではなかったか?
言ってしまえば現在と間逆である。解りやすく言えば過剰な品質志向である。

申し訳無いが、見てくれの良さや宣伝文句ばかり先行し肝心の根幹部分をいかに低コストで
仕上げるかの現代製品と違い、既にコストマネージメントが着手されていたとは言え当時の
製品は(少なくとも中級オーディオ製品は)かなりの過剰品質であった。

次々と発表される新開発技術、新素材、新トレンド、アモルファスだ、ネオジウムだ、リニアトラッキングだ、
と言っている内はまだ良い方で、怒涛の如く乱入してきたデジタル化、そしてAVブームの波に対応しながら
折からの好景気へ向かう日本人の嗜好として高級化への要望も果たさなければならず、あげくには音には
直接関係の(無い訳ではないのだが・・)無い筐体の過剰な重さや、フロントパネルの尋常でない厚みにまで
応えなければならなかった。

59800円のスピーカーが重さ30kgなんて、一昔前なら30~40万クラスのレベルだよアンタ・・
10mm厚のフロントパネルなんて、それもう耐火金庫かな?・・な世界の話し・・
ローズウッドにウォールナット、バーズアイメープルって高級家具かいな?

次から次へと高級化、高性能化、高重量化、そして9800円の壁と新製品発表の応酬・・

そりゃまぁ、企業体力も削られますわな・・
しかして、いつか来るブームの終焉、つわものどもも夢の跡

オーレックス、オットー、NEC、サンスイ、AKAI、AIWA、多くの企業、ブランドがオーディオの世界から撤退
して行った。 中でもアンプの名門と謳われたサンスイの海外企業への身売りとその後の凋落はオーディオ
マニアの心に暗い影を落とす事となった。

あれから4半世紀、幾多のデジタル化の波も乗り越えながらPCオーディオだのハイレゾだの IoTだの今後も
止む事なき技術革新の世界の中でオーディオはもはや過去の物なのか?

百円ライター程の大きさのプレーヤーに数千曲が収まり、そこそこ良好な音質でいつでも手軽に楽しめる現代、
あの巨躯にまみれ居間の数割を占有し、引越しとなれば筋肉痛必至なコンポーネンツ達は太古の恐竜化石
の如きものなのか?

今、自分にそれを判断する造詣を持つわけでは無いが、廃れたとは言え、又、ターゲットユーザーが絞られたとは
言え、いまだにオーディオ製品が健在しているところを見るとまだしばらくの間は変貌進化しながら続くのであろう。

見てみれば、上で揚げた撤退ブランドでも結構復活されてきている。元のメーカー復興と言うより新興プロジェクト
によるネーミングリライツと言った感じだが、古くを知るファンには何となく嬉しい・・

考えてみればオーディオの世界にかかわらず、いつの世も熱い塊のような物がぶつかって
更に大きなエネルギーを燃やしそれが引き継がれ、しかしやがては収束して行き又、新たな物を生み出す契機となる。
それはいつの日も変わらないこの世の曼荼羅模様のようだ。

そしてそれはいつも熱い時代にこそ、人を惹きつけるエネルギーを持っている。
人と音楽を結びつけるアイテムとして古き物も新しきガジェットも興味を失う事は無い。

何でも良いが「オーディオの時代とTVCM」とか銘打っておきながら今回は全くCMの話が噛んでこなかった・・
まぁ良いか・・・(汗  最近、復興した旧オーディオブランドを眺めるのが楽しい日々である。  (終)

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